ランデロン51ジャンク再生 (前編) 天真折れ

ランデロン51(オールドクロノグラフ)のジャンクの修理をしました。今回の修理個所は時計機構部の巻真腐食と地板側天真ホゾ折れです。巻真と天真をebayから購入、巻真、天真は交換して修理完了と考えていましたが、天真に関しては以下の通り苦戦を強いられました。

ランデロン51天真修理

このように天真の胴が拡がっているため、タガネで天真を抜くときにいつもより固く、結果、テン輪の腕の穴が大きくなり、純正天真の寸法(1.00mm)ではゆるくなりました。また、カシメしろも不十分なために、下図のような天真を自作しました。

天真の製作は大川勇著「時計旋盤工作」の天真製作の手順に忠実にしたがっておこないました。

 

左は自作した天真をセメントチャックして旋盤で回転させている写真です。大成功です。芯出しも意外と簡単でした。この状態でバイトでホゾの形を整えたり油砥石や研磨剤で磨いたりできました。セメントチャックはもっと多用すべきと再認識しました。

 

 

自作天真を製作し教科書通り(下図)にテン輪に組み込んだ結果、運よく、縦振れ、横振れがほとんどない良いテンプができあがりました。

<天真交換後の性能>  

天真を交換した後、簡単に分解掃除して動かした結果、以下の性能がでました。

タイムグラファー:文字板上:歩度+15s/d、振り角270° 片振り0.4ms

 

<前編・修理完了>2013-7-22

 

ランデロン51ジャンク再生 (後編)クロノ機構部分の修理について>

 

クロノ機構では分積算計の針、図右のバネが欠品、図左の分積算計歯車押えバネ部が破損紛失しています。したがって、クロノ機構部の修理は部品の入手に努めながら、自作の可能性も模索します。

 

現状でのクロノ機構の状態

天真交換後、時計機構が元気に動き始めました。永久秒針の動きがドライビングホイールから中間車を介してクロノグラフホイール(クロノ秒針)を回します。さらに中間車を介して1分ごとにミニッツレコーディングホイールを送るところまで確認しました。動力の伝達は出来ることを確認しています。上図の左の部品があれば分積算計の針が1分毎にパチンと分積算計の針を送るようになります。まだ、スタート、ストップ、リセットのリンク機構はバネ欠品などで動かないのでダイナミックには未確認ですが、リセットハンマーを動かすと秒・分針ともに零帰します。もう一歩でクロノ機能も再生できる感じです。