ナショナル電池式柱時計 すぐ止まる、時報も鳴らない

2か月前から2~3日で止まるようになった。最近では数時間で止まるようになった。また、毎正時に鳴る15秒間の時報(ウエストミンスター・チャイム)も不調で鳴らなくなり、修理を依頼されました。

 

メーカー:松下電器産業

品名:バッテリークロック

Model:NBC-201

 

<時計のしくみ>            注:部品名は仮称です

1.5V電池、コイル(振り子1KΩ)、振り子の案内パイプ内部の永久磁石、接点で構成される時計です。その他の回路部品などは使用していません。

電池+が振り子の上部に接続され振り棒(機械地板とは絶縁)を経由して振り子のコイル(約1KΩ)に接続、コイルの他端は振り棒に沿う配線で振り棒の接点玉に接続されます。接点玉の接点は振り子が左に振れたタイミングで接点レバーと接触し、その時だけ電流が流れます。コイルに電流が流れている時、永久磁石の磁束とコイルを流れる電流で生じる力(フレミングの左手の法則)と重力により振り子が振り続けるしくみです。


<時報のしくみ>

分針を回す歯車にカムがついていて正時10前に時報準備、正時にオルゴールの接点がONして1回転(15秒間)演奏されます。1回転すると時報レバーがドラム側壁の切り欠きを開いて落ち込み接点がOFFします。

 

止まり原因は電池回路の各接点部のよごれ、サビ、腐食でした

左の写真は振り子接点玉と接点レバーの様子です。別の時計の写真です。右の2枚の写真が今回の修理品の写真です。

接点レバーの支点部、ヒゲゼンマイ部もサビていました。


時報が鳴らない原因は時報レバー面とドラム切り欠きの 当たり角度が不適切でした

毎正時の10分前に時報レバーが切り欠きから脱出するのですが、レバー面が引っかかりやすくなっていました。修正して解決しました。

整備後の性能


振り子は快調に左右に40mmぐらいで調子よく振るようになりました。振り子式時計ですので精度は歩度調整用の振り子のおもり(調整錘)のネジで調整します。

例えば、調整錘を右回し1回転で現状より1日1分進むようになります。1週間で7分遅れるのであれば、1回右回しで(=振り子が短くなる)・・・・という感じで気長に調整すれば±15秒程度の性能は得られます。


また、夜中など時報を鳴らしたくない時のために、時報鳴り止めスイッチを追加しました。



修理完了 2015-4-30

 

<お願い>

 この時計のカタログや取扱説明書をお持ちの方、是非見せていただきたく思います。ご連絡お願いいたします。 

 

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ご参考:振り子案内棒の永久磁石

慎重に静かに付くだけつけたところです。思ったより強い磁石です。

ご参考:時間調整の仕方