6年間愛用されてきた時計、ガラス、ケース、バンド全般にキズ、汚れがなく大事に使用されてきたことがうかがえます。動かなくなったので電池交換したが動かない。
<SEIKO EL-330 仕様>
電池:EPX-77 1.5V(径11.6mm,厚5.6mm)(代替電池はSR44SW)
電池寿命:1年以上
キャリバー:3303A(日付、曜日付)
テンプ振動数:6振動(21600回/時)、
方式:接点式アンクル駆動方式
製造開始:1972年(昭和47)
製造工場:亀戸
ムーブメントの状態で電池を外部から接続しても動作せず、テンプを回転させてもテンプは継続振動できませんでした。
<コイル抵抗値>
測定値:1.71KΩで正常
正常値:1.6~1.9KΩ
接点バネと接点ピン間のスキマ寸法が大きすぎる組みつけになっていました。写真は分解前の状態で、接点バネを顕微鏡で観察したものです。テンプを取り外し点検した結果、接点バネと接点ピンのスキマ寸法が規定値より大きく動作できない状態でした。接点バネ、接点ピンの位置を修正しました。結果、テンプが元気に振りはじめました。不動の原因は「接点バネ、接点ピンの位置調整不良」でした。
SEIKO技術解説書より抜粋
接点バネと接点ピンのスキマ再調整でテンプが元気に振りはじめ、原因が特定できましたが、分解掃除、注油を行いました。
<文字板の掃除>
文字板はきれいに見えましたが、顕微鏡で見ますと写真のようにかなりの曇りがすべてのインデックスに見られました。放置しますと腐食に至りますので丁寧にふき取りました。光沢も復活しました。
技術解説書に指定されているすべての個所に注油してあります。
写真は、特に重要なテンプ上下軸受の注油状況です。良い状態です。このようにホゾを中心に注油した油が丸く保持されていることが大事です。
消費電流はいろいろな要因で変動しますが今回は回路基板に依存して消費電流が大きくなっていました。
仕様は16μA以下ですが、修理品は23μAと大きな値になっていました。ご相談の上、予備品(11μA)と交換しました。