シチズンX8コスモトロンデート(4840)修理

<整備する時計>

Cal.4840 コスモトロン・デート

仕様・説明

キャリバー  :4840

電池     :301 1.5V(径11.6mm,厚4.2mm)

        持続時間1年以上

テンプ振動数 :6振動(21600振動/時)

駆動方式   :可動磁石型テンプ調速式

        (セイコーの表現ではテンプ駆動方式)

発売時期   :1970年(昭和45年)5月

 

<故障内容>

故障1:テンプの縦あがきが大きく振りが不安定ですぐに止まる。

故障2:リューズを引いても秒針停止できない。

 

 

故障1:地板側のホゾ摩耗が致命傷である。ジャンクのテンプのホゾ摩耗は少ないので部品どりすることとした。

<縦あがきの調整>テンプ交換後は文字板下ではテンプが快調に振りだした。しかし、文字板上では止まることはないが、タイムグラファーにきれいな線がでずほぼ、乱点となった。まだ、縦あがきが大きいことが原因です。テンプ受のネジを少し緩めて、テンプ受けと受座の外周部スキマに0.05mmのスペーサを入れました。テンプ受がわずかに傾き、穴石分が少し下がります。結果、すこぶる快調となりました。髪の毛1本のスペーサは分解するとなくなるので、恒久対策としてテンプ受け座の外周部にバイトで凸凹傷上がりをつくり、凸の効果でスペーサ同様の結果を得ることができました。

      <調整直後の測定値>

文字板上 歩度:+8s/d 振り角:251° 片振幅:0.2ms

文字板下 歩度:+3s/d 振り角:244° 片振幅:0.1ms

おおむね、歩度は+10秒、振り角は200~250程度の性能となりました。技術解説書には正常な振り角は水平姿勢で250~290°と記載されています。40年以上前に製造された時計ですが仕様ぎりぎりの性能がでました。

 

 

故障2:リューズを引き出しても秒針を停止できない。

秒針停止は①リューズを引く→②巻真先端が発停伝えレバーを引っ掛けて引きつける。③発停レバーバネが発停レバーを発停伝えレバーに押しつける→発停レバー先端が振り座を押さえて振りを止める。という仕組みであるが、発停伝えレバーの摩耗により②の動作ができないことが原因でした。


この発停伝えレバーは段付き圧入ピンで地板に組みついている。圧入しているピン径は0.5mmである。

タガネで叩いて摩耗の程度を少なくし、地板の盛り上がり部分をバイトで削った結果、秒針停止操作は機能するようになった。

以上の修理で十分実用に耐えるX8コスモトロン・デートが復活しました。

 

<修理完了> 2013-5-7