<修理する時計>
動くには動くが時々止まるということであった。シリアルから1910年製造の懐中時計である。102年前に製造された時計です。
(シルアルNoが350万~374万代は1910年製造です。)
<故障原因>
長針が時々、風防に接触することが直接の原因でした。写真のように短針穴が切れていて筒車にしっかり取りついていない。そのため短針が文字板に水平に取り付けられず、そのために長針取り付けも文字板に水平ではなく持ち上がっていた。風防に接触して時計が停止していた。短針穴を銅線+半田で補強、しっかり水平に取り付け、長針を短針に平行に取り付けることで風防に接することはなくなりました。
<修理後の問題>
持続時間:約40時間
歩度:文字板上 約+30秒/日 リューズ上:約+10分/24時間、 垂直姿勢時で異常に大きな進み誤差である。
<原因>
テン輪の片重りが原因でした。写真のようにチラネジではなく銅のクサビが差し込まれている箇所があった。このポイントが重くてかなり強い片重りとなっていた。このクサビを取り除いてもまだそのポイントが重い。テン輪の反対側にチラネジつけて調整した結果、片重りは解消しました。
<片重り調整後の歩度>
文字板上 約+30秒/日 リューズ上:約+1分/日
リューズ上が+10分から+1分までは改善したところで時間切れとなりここまでとしました。
<参考>
アンクル爪石が摩耗していました。今回、修理しないこととなり、このままとしていますが、100年の時の流れを感じました。