CYMA懐中時計 すぐにとまる

<修理する時計>

CYMA懐中銀時計。10石、銀時計 ケース径43mm、機械径28mm。

<受付時の状況>

なんとか動いてはいた。文字板上ではすぐ止まり、文字板下で振り角90度以下の弱々しく動く。天輪に少しぐらつきありました。また、機械止めのネジが付いていません。

CYMA懐中時計

<点検結果>

(1)  字板足の止めのネジが二本とも組み付いていません。足を差し込む穴の付近が二箇所ともそこの部分だけ著しくサビ色に変色してる。接着剤で取り付けていたと思われます。

(2)文字板の11時と4時の箇所の割れは文字板足を付ける作業時に割れたものです。

(3)テンプ上座の取り付け不良(重症)

この時計のテンプ上下の穴石、受石ともフラットであり、時計油が中心部に保油される構造ではない。テンプ上座の片方のねじの締めこみが効いていない状況でした。

(4)アンクル受けのぐらつき(致命傷)

アンクル受ネジが写真のように変形していて、強引に地板にねじ込んであったため、アンクル受が正確には水平ではなく、アンクルの動きが悪いため引きがほとんどありませんでした。

アンクル受

<修理内容>

(1)アンクル受ぐらつき

アンクルネジを交換、運よく地板のメネジが機能してくれて水平に固定できた。良好な引きが復活しました。

(2) テンプ上座の取り付け不良

テンプ上下の穴石、受石ともフラットであり、時計油が中心部に保油される構造ではない。テンプ上座の片方のねじの締めこみが効いていない状況であった。適合するネジに交換しOKとなりました。

テンプ上座

<修理完了>2012-3-3

なんとか実用できる時計に復活しました。文字板上の姿勢の歩度は+25秒/24時間でした。24時間通じて安定動作しています。姿勢差の影響もありますので日差は±2分程度とお考えください。正確な時刻に縛られない時に、ゆったりした気分で使用されたら楽しいでしょう。文字板上で日差は少しプラスに調整しておきました。小さめの使いやすいサイズの懐中です。ご愛用されますように。